私が最初にウェブサイトを立ち上げたのは、2008年09月の事だった(それ以前にも、ウェブサイトは持っていたが、それは情報を発信する事よりも、記録を目的としたものであった)。もっとも、当時はFC2の無料サーヴィスを利用していたのだが、ある時、知人から、こんな趣旨のメールを頂いた。
「いかがわしいウェブサイトの宣伝をするのは、イメージ悪いですよ。」
聞く所によると、当時の私のウェブサイトの下の方に、アダルトサイトのバナー広告が入っているらしい。もっとも、私のパソコンの画面から見ると、その場所にあるのはHOME’Sの分譲マンションを紹介するバナー広告のみである。当然、彼の指摘になど、気付こう筈もない。
こういう事を知らずに、インターネットを利用するのは恐ろしい事だと思うのだが、バナー広告というのは基本的に、Cookieに基づいて表示されており、Cookieとは、そのブラウザで閲覧したウェブサイトに関連する情報を表示する仕組みの名称である。私は当時、物件を紹介するウェブサイトを幾つか巡回していた。だから、私がウェブサイトの画面を開いた際は、その情報に基づいてHOME’Sのバナー広告が表示された。私は、真実を伝える事は躊躇われたので、親切な彼に一言だけ、君の紳士としてのイメージを崩したくなければ、そういう事は二度と口にしない方が良いとだけ忠告しておいた。あとは、彼が図らずも恥ずかしい告白をしてしまった事に自ら気付き、以後の糧にしてくれる事を祈るのみである。
しかし、言われてみれば確かに、バナー広告はうっとおしい。また、FC2の場合は特に、一ヶ月以上更新しないと、記事の欄にまでバナー広告が出て来てしまう。そこで私は、独自ドメインを取得し、サーバーをレンタルする事にした。その時に立ち上げたのが、このウェブサイトである。
私は多少、HTMLの心得があったので、このウェブサイト立ち上げ当初は、タグ打ちで作成していた。しかし、それだと頗る生産効率が悪い。そこで二年前から、WordPressを導入する事にした。本格的なウェブサイトを、面倒な作業や専門知識なしに作る事が出来る…噂には聞いていたが、これがなかなか秀逸であった。以後、今日に至るまで、WordPressは私にとって、手放す事の出来ないツールである。
独自ドメインを取得した頃から、アクセス数は増加し、それに伴う形で送られて来るメールの数も増大して来た。その内の1割程度は質問だが、その大半はアスペルガー症候群関連のものである。本ウェブサイト記事”アスペルガー症候群③”に引き続き、今回もその質問の幾つかに答えたいと思う。
Q:アスペルガー症候群を診断するウェブサイトなどがあるが、信用して良いのか?
飽くまで、参考程度と考えて下さい。例えば、私は、”知能が高い””変わり者である(特に幼少期には、自閉的認知行動特性が顕著に見られた)”という特徴を持った、典型的なタイプの(積極奇異型)アスペルガー症候群ですが、私がアスペルガー症候群を診断するウェブサイトなどで診断を行うと、殆ど例外なく”アスペルガー症候群の可能性は低い”という結果が出ます。
素人はとかく、聞きかじりの不確かな情報に独りよがりな解釈を加えた上、ごく少数の事実のみを見て、”こういった特徴があるから、アスペルガー症候群”といった短絡的な判断をしがちですが、実際のアスペルガー症候群の診断は、本人やその両親(幼少期を詳しく知る者)などから必要な情報を聴取し、知能テスト(※01)や脳波測定などの結果を踏まえた上で、かなりの数に上る項目を精査して行う、複雑で時間のかかるものです(※02)。従いまして、これは専門医でなければ行えません(反対に、素人解釈を信ずるに足るものであると思い込んでいるという事実そのものが、アスペルガー症候群というものを余りよく理解していない、何よりもの証左です)。アスペルガー症候群がどう現れるかは、人によって様々です。診断は飽くまで、専門医に委ねて下さい。
Q:アスペルガー症候群関連の情報が錯綜していて、何が本当なのかが分からない。どうやって見分ければ良いか?
基本的には、英語で書かれた、売れ筋のものをお勧めします(※03)。理由の一つは、日本はこの分野に於いて、途上国であるという事。理由のもう一つは、日本ではアスペルガー症候群に対し悪意ある解釈をしたがる人間が、非常に多いという事です。
この分野の先進国で書かれたものを読めば分かりますが、天才や高知能である事とアスペルガー症候群との強い相関は、もはや常識となりつつあります。ところが日本には、遠くの天才を認めるのに抵抗はないが、自分の生活圏にいる者達が、それらと同種のものであるとは決して認めたがらない輩が非常に多く、それらの者達は様々な手段(最近は善意や、客観的見解を装いつつ肝心な所に毒を盛り込むといった、性質の悪いものが多い)によって、アスペルガー症候群に対する悪意ある解釈を広めようします。残念な事ですが、日本は欧米とは比較にならない位、幼稚で浅ましい国なのです。
絶対にやってはいけないのは、誰が書いたのかが分からないものを参考にするという事です。匿名であれば、どんな無責任な嘘でも書ける…これは、誰が考えても、容易に分かる事でしょう。最低でも、誰が書いたのかが分かるもの…即ち、自らの主張に対し、責任を負わざるを得ない状況で書かれたものを参考にして下さい。
ちなみに、アスペルガー症候群に対し、悪意ある解釈が為されているなと思われる記述を見かけたら、それを書いた人物にソース(その情報の出所)の提示を求めてみて下さい。一つ参考までに申し上げますと、私は計11名に対し、それを行いましたが、信じられない事に、きちんとソースを提示する事の出来た人は一人もいませんでした(つまり、捏造率100%という事です)。また、併せて実名を名乗る様、求めましたが(※04)、これもゼロ…まあ、犯罪者に素性を明かす様、要求している様なものですから、当然と言えば当然ですね。
※01:医師、若しくは臨床心理士主導の下、一対一で行われる本格的なもの。知能テストというと、纏まった数の人間が一斉に受ける、ペーパーテストの様なものを想像する人が多いが、本来の知能テストの形式はこれである。
※02:専門医の絶対数が少なく、待ちの期間が長いという特殊事情も加味しなければならないが、私の場合、予約(これだけでも、一ヶ月がかりである)から診断まで、およそ半年を要した。クリニックや医師により、状況は様々であるが、少なくとも、即座に診断の下せるものでない事だけは確かである。従って、「今日、病院に行ってみたら、アスペルガー症候群と診断された」といった風な事を言う人がいるが、これは明らかに嘘であるか、若しくは、診断を下した医師が専門医ではないかの何れかである。但し、これは飽くまで、私がアスペルガー症候群の診断を受けた前後の時点に於ける、国内の事情である事を、ここに付け加えておく。
※03:英語が出来なければ、邦訳版に頼る以外に方法はないが、この場合、二つの事を視野に入れておかなければならない。まず一つ目は、邦訳される本というのは、ランダムに選ばれる訳ではなく、基本的には出版社や翻訳者により選定されるものであるから、その選び方に”悪意ある”偏りが生じてしまう可能性があるという事。二つ目は、”悪意ある”誤訳が為されてしまう可能性があるという事。ただ、私が見る限り、邦訳されたものは日本のものに比べ遥かに質は高く、概ね信頼して良い様に思う。
※04:虚偽の情報を流しているウェブサイトの内、その記事を書いた人物を明確にしているものは、ただの一つとしてなかった。人間が匿名という条件下に於いて、如何に卑劣になれるかという事を示す、格好の事例である。