インチキ番組

 一昔前、”奇跡の扉 TVのチカラ”という番組が存在した。メインは明らかに、超能力者を自称する者達による犯罪捜査であったが、建前としては視聴者に情報の提供を呼びかけるというものだった。
 TVでは番組を盛り上げる為、誇張した表現が為され易い。例えば、あの番組に出演したマクモニーグルなる超能力者は、”超能力捜査官”などという、ありもしない役職で紹介され、また実際にアメリカの警察に協力し、それなりの成果を挙げ認められているが如く紹介されていた。無論の事、合理主義の国アメリカに於いて、そんなものが相手にされるはずがない。
 当時、私はあの番組を使い、ある遊びを楽しんでいた。あの番組の熱心なファンである知人を相手に、超能力捜査が成功するか否かを、新聞のTV欄を見ただけで当てるというもので、これが面白い程にピタリと当たる。ある時、その知人は不思議がって、「なぜ分かるの?」と私に聞いて来た。「超能力だよ」と、私は冗談交じりに答えたが、さすがにこれでは信用しない。まあ、種を明かせば簡単である。家出人の捜索といった様な、興信所に頼めば解決しそうなものは”成功”、それ以外は”失敗”、それだけである。あの番組で解決したのは、金を積めば何とかなりそうなものだけであるという事くらい、冷静な目を以てすれば一目瞭然である。

 あの手合いのインチキ番組は、今以て無くならない。残念な事である。