インターネットの匿名性

 インターネット上に於ける匿名性を巡る議論は、比較的盛んに、そして継続的に行われている。私も嘗ては、慣例に倣って匿名による投稿をしていたが、匿名の影に隠れて、やりたい放題やらかす者達との区別を明確にする為、ある時期からは全ての書き込みを実名で統一している(とは言え、今では掲示板に書き込む事そのものが、殆どない)。
 私は、実名推進派であるが、匿名推進派の意見を聞くと、その主立ったものは以下のものである。

① 実名では書き込めない様な相談事などが、インターネットで出来なくなる。
② 一部の荒らしのために、ちゃんと利用している者が制約を受けるのはおかしい。
③ 実名での書き込みは、著名人など一部の人間にとってはメリットがあるが、一般人にはメリットがない。

 これらには、反論の余地がある。
 まず①だが、実名では書き込めない様な相談事というのは、ごくごく限られたものに限定されるはずである。ならば原則実名とした上で、匿名性を必要とする一部ウェブサイトのみに匿名の許可を与えれば良い。簡単な話である。
 ②は確かに一理あるが、現実的でない。例えば我々は、ここかしこでパスワードによる認証に出くわすが、これは一部の者による不正利用を防ぐ為、利用者全員がその手間を強いられているのである。一部の者による問題行動のため、その他の者が制約を受けるケースなど幾らでも存在する(家や自転車等に鍵をかける、人通りの少ない夜道を歩かない等)し、また治安を維持する為には必要でもある。従って、これは制約を設けるべきではない特段の理由とはなり得ない。
 ③については、メリットというものを、個人による、ごく限られた意味合いに限定するならば、確かにそうである。しかし、ネットの治安を守り、飛び交う情報を良質なものにするという点では、明らかにメリットがある。メリットがあるか否かは、近視眼的に判断する事はできない。この主張をする者は、その辺りが分かっていないのである。

 インターネット上に書き込む際の実名の公開を、法律により義務付ける。また、罰則の緩い法律は、本当にその法律を適用したい人間に対し有効に働かないから、法定刑は厳しく設定する。それだけで、インターネット上の治安と情報の質は、格段に上がる筈である。無論の事、海外にサーバを設置する、プロキシ経由で書き込む…など、犯人を特定する上で、技術的に解決困難な問題も伴うだろう。しかし、世界に先駆けてやってみる価値はあると思う。