’16 アメリカ大統領選

 アメリカ大統領選を、来月(8日)に控えている。これについて、少し触れておく。

 まず、今回の大統領選の最大の特徴は、候補者のいずれもが、魅力に欠けているという点である。つまり、今回の選挙では、有権者の多くは、”より良い方を選ぶ”のではなく、”よりマシな方を選ぶ”…即ち、消極的選択を迫られる事になる。ちなみに、トランプ、ヒラリー(クリントン)両候補の内、積極的支持者の比率が高いのは、おそらくトランプの方である。しかし、一部に熱烈な支持者を持つ人間というのは、多くの場合、熱烈な不支持者をも併せ持つ(※01)。ヒラリーが、支持率に於いてトランプを上回っているのは、この”反トランプ派”の人間が、彼女の支持に廻っているからに他ならない。この傾向は、おそらく大統領選当日まで変わる事はないだろう。つまり、2017年01月20日には、米国初の女性大統領が誕生するという事である。
 しかしながら、こういった形で得た政権というのは、なかなか順風満帆という訳には行かない。これは、例えば、2009年に起きた、自民党と民主党の政権交代を考えれば、分かり易いだろう。あの年、国民の自民党に対する不信感は、ピークに達していた。それにより、主に無党派層を中心とした人々の中に、自民党離れが起こり、その”反自民”の人達の多くが、あの年に行われた第45回衆議院選で民主党に投票し、政権交代は実現した。つまり、民主党が獲得した票の多くは、”民主党の支持票”ではなく、”反自民票”だった訳である。しかし、”反自民票”を投じた人達は、純粋な民主党の支持者ではないから、見かけ上の支持率と実質的な支持率との間には、大きな隔たりがある。その結果、どうなったかについては、ここで私が言及する迄も無いだろう。実質的な支持者の少ない民主党は、過剰なまでに叩かれた。同じ状況が今まさに、アメリカに生じようとしている。ヒラリーは、相当な覚悟を以て臨まねばなるまい。

 ところで、私が今回のアメリカ大統領選に於いて最も注目しているのは、その投票率である。両候補の魅力の欠如が、そのまま数字となって現れる筈だから、おそらくは過去最低か、それに近い数字を記録する事になるだろう(※02)。アメリカ人が、彼らを、どう見ているのか…今から、楽しみである。

※01:石原慎太郎などが、この好例であろう。
※02(追記):53.1%と低水準ではあったが、私の目から見れば、これでも高すぎる様に思える。多くのアメリカ人が”ネガティブ票”を入れる動機は、私が考えている以上に強いのかも知れない。