日清製粉のCMが、話題になっている。
このCMの問題点が、いまいちよく分からないので調べてみた。すると、どうやらこれに出演している矢口真里という人物は、遠からぬ過去に不倫騒動を起こしたという事実があるらしい。この事を知った時の私の印象は、”ほほぅ、なるほど…”であった。以下、私の所見を述べる。
まず、クレーマーというのはどこの社会にも必ず一定数は存在し、これらの多くは他者を非難する事により優位に立ったかの如き錯覚を得て喜んでいる陰湿で自己中心的な輩であるから、その多くは、お説教を好んでしたがる人間と重なっているはずである。
ここで、一つの疑問が生じる。日清製粉は、こういったクレームを想定していなかったのだろうか?おそらく、それは無いだろう。何故なら、同社は今迄にも数多くのCMを打ち出して来ており、それらの経験から打ち出したCMに対する反応の質・度合いについては、知り尽くしているはずだからである。となると日清製粉は、こういったクレームが来る事を想定した上で彼女を起用したという事になる。
事の真相は、おそらくこうである。高確率でクレームが来る事が想定され、且つ企業イメージを損なわない程度のCMを敢えて流す。そして、想定通りのクレームが来ると、即座に(この”即座に”が重要である)CMを打ち切る。すると、世間はどう反応するか?まず、CMの早期打ち切りそのものが話題になりマスコミに取り上げられる。また、大半の人間はそのCMそのものを目にしていないから、見たいという心理が働き注目度が上がる。更には、実際にインターネットなどを通じて目にしてみると、然して問題視する程のものではなく、またクレームにも迅速に対処した訳であるから、企業イメージに傷が付く事はない。結果として、普通にCMを流すよりも遥かに高い宣伝効果が得られ、またリスクもない。
日清製粉は元来、CM制作には長けている― インパクトのあるCMを作る ―から、おそらくはその担当部署に頭の切れる人物がいるのだろう。だとすれば、この程度の思惑を巡らせたと考えても然したる不思議はない。
目先の事に囚われ思考停止している様では、良いアイディアは浮かばない。”こうすれば、どうなるのか?”…ありとあらゆる可能性を多角的に考え抜き、最も合理的な道を選択する…これが出来ない人間は、殊の外多い。